【マッチレビュー】EL準々決勝2nd legスラヴィア・プラハ対アーセナル「今年一のインテンシティ」
ホームで行われた1st legは後半に先制するも後半ATに同点弾を被弾し、1-1のドローで折り返したアーセナル。
内容は悪くありませんでしたが、アウェイゴールを献上してのドローということでいささか状況は芳しくありませんでした。
そんな中、リーグ戦は快勝してスラヴィア・プラハのホームに乗り込むアーセナルはセミ・ファイナルへの切符を手にするためには2ゴール以上奪ってのドローか勝利が条件です。
そんなEL準々決勝2nd legスラヴィア・プラハ戦のマッチレビューです。
スラヴィア・プラハ0-4アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
ブレイズ戦からの変更はスミスロウのみとなりました。
1st legでスタメンだったマガリャンイスではなくブレイズ戦に出場していたパブロ・マリが継続してスタメン出場となっているのは少し意外です。
そして、当初はインフルエンザと言われていたオーバメヤンですが、どうやらマラリアに感染していたということで一時は入院していたようですが、すでに退院し回復に向かっているとのことで一安心です。
EL準々決勝の間で行われたスパルタ・プラハとのプラハダービーはシマ、オラインカはどうやら負傷のようで欠場していました。
そして、この2人のうちどちらかは先発してくるだろうと言われており、実際に出てきたのはオラインカでした。
両チームの二次配置
アーセナルのボール保持時
アーセナルのビルドアップの形はブレイズ戦の3-1-6を継続する形になっていました。
しかし、左の大外にペペがいることで、裏も狙えますし、単独の仕掛けやラカゼットとの連携で崩すことも可能だったこともありセバージョスが中央でボールに絡む頻度が増えていた印象があります。
セバージョスは最初から中央にいるとそのまま相手の視野の中で受ける癖がありますが、この試合ではサイドから入ってきてのワンタッチでの落としやスルーなどが目立ち仕組みで崩すビルドアップに即興で上積みができていました。
ハーフスペースで受けるラカゼットとスミスロウもそれぞれ必要な位置にとどまりパスを引き出すラカゼットと動きながらスペースを作り縦パスを引き出すスミスロウは左右のトライアングルの起点としての役目を果たしていました。
左サイドはペペが大外、ラカゼットが内側でレーンの入れ替えはあまりしていませんでしたが、それゆえシンプルな形で4点目のゴールが生まれました。
一方、右サイドではサカとスミスロウのレーンの入れ替えを多用しながらサカのカットインからの形、そこにチェンバースのオーバーラップの加わる厚みのある攻撃を披露しました。
スラヴィア・プラハのボール保持時
スラヴィア・プラハはビルドアップ時にGKが絡む頻度も高く、かなり後ろからつなぐ意識が見えました。
それに対して、アーセナルの前からの守備は今年一と言っても過言ではないインテンシティで臨んできました。
アンカーのフロマダに対してはラカゼット、左IHのプロヴォドに対してはスミスロウがマンマークで対応、右IHのシェフチークにはセバージョスが前に出ていきここもマンマークで監視。
基本的にはフロマダが低い位置にいますが、プロヴォドと入れ替わるように上がる時もラカゼットがついて行っていたことからスラヴィア・プラハの中盤に対してはマンマークを徹底していたことがうかがえます。
両WGはSBへのコースを抑えるコースカットプレスでCBにプレッシャーをかけていきました。
SBが浮いた形になり、GKからの浮き球のパスでつなごうとしますが、浮き球を採用した時にはボールの移動中にSBが前にスライドしプレッシャーをかけることで前進を許しませんでした。
4バックにしてからはSBに対して後ろの選手がここまで前にスライドすることはあまりなかったため、この試合に対する意気込みがうかがえます。
結果、ビルドアップで息が詰まり為す術が無いまま3失点を喫し、そこからはオラインカをサイドに流れさせてのロングボールも用いるようになったこと、アーセナルがリードしたことえ少し前からの圧力を緩めた事もあってアーセナル陣内に侵入できるようになり、いくつかのチャンスも作りました。
1秒先を見通す能力
1点目のぺぺのゴールをアシストしたプレーはお見事でした。
チェンバースの縦パスをラカゼットがレイオフで落としてスミスロウが前を向いてボールを持ったところからDFを引き付けて股抜きで1人かわして股抜きパスでペペがGKと1対1になる状況をおぜん立てし、最後はペペが少し浮かせたシュートできっちりゴールを奪い先制。
足元の技術、あの状況であのパスを通すアイディアはさすがの一言です。
ですが、同じくらいスミスロウの能力を物語っているシーンがサカがエリア内で倒されてPKを獲得したシーンです。
サカがホールディングからのパスをレイオフで落としてチェンバースが裏を狙うパスを出したシーンですが、サカがレイオフした時点でスミスロウが裏を狙って走り出しているのが試合を見ていただければ分かります。
ここにこのタイミングで走り込める選手は稀有な存在でしょう。
仮に、チェンバースがパスを出すタイミングでスタートを切っていれば単純なスプリント勝負になり、どちらが先に追いつくかは五分五分と言ったところですが、その前にスタートを切ることでその勝率を限りなく高めることができます。
まとめ
90分ボールを握り続け試合を支配し続けるというシティのような芸当はまだ難しいです。
ですが、前から行くときは良く、行かない時はしっかり撤退してブロックを組むというメリハリがありました。
そのおかげかボールを握れていないが試合を支配しているという時間帯を作れていたのは評価できます。
スラヴィア・プラハにとってこの数週間は様々な要因によってかなり難しいものになっていたのも事実です。
しかし、アーセナルにとっては主力に負傷者が出ている中でリーグ戦、ELと続けて快勝できたのは大きかったですね。
EL準決勝で激突するのはビジャレアル。
そう、ウナイ・エメリ率いるビジャレアルです。
そして、元アーセナルのコクランも在籍していますね。
アーセナルにとってはEL制覇してCL出場権獲得が至上命題ですのでエミレーツで散ってもらいましょうか。
フラム戦に向けて
次の試合はプレミアリーグ第32節フラム戦です。
フラムは現在降格圏内の18位に沈んでおり、直近では4連敗中です。
一時は降格県内脱出も見えてきましたが、この4連敗で17位のニューカッスルとの勝ち点は6に開いてしまっている状況です。
失点数は42失点で可もなく不可もなくといった数字ですが、得点数はブレイズに次ぐワースト2位の24得点で得点力のなさが低迷につながってしまっている印象ですね。
フラム戦の次のエヴァートン戦までは中1週間あることを考えたら大幅なローテーションをすることも考えられますが、ある程度フルメンバーで来ると思います。
また、バログンをプレミアデビューさせるならこのフラム戦か35節のWBA戦になるでしょう。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。